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月別アーカイブ: 2025年4月

第10回土木工事雑学講座

皆さんこんにちは!
USUI総業株式会社、更新担当の中西です

 

さて今回は

~育成~

ということで、人材育成と人手不足の背景・課題・解決策を深く考えていきましょう。

今、私たち土木業界が直面している最大の課題――
それは、「人がいない」「人が育たない」「人が辞めていく」という三重苦とも言える「人手不足問題」です。

このままでは、地域のインフラを守る人がいなくなる。


土木業界を襲う人手不足の現状とは?


❶ 就業者の高齢化と若手不足

  • 国土交通省の統計によると、建設業就業者の約3割が60歳以上(2023年)

  • 一方、29歳以下はわずか11%前後という深刻な若年層不足

📉 あと10年で半数以上のベテランが引退する現実がすぐそこに迫っています。


❷ 3K(きつい・汚い・危険)というマイナスイメージ

  • 夏の炎天下、冬の寒風、粉塵、騒音、重機…

  • 世間からは「大変そう」「給与が安そう」「将来が不安」と見られがち

💬 実際には改善が進んでいても、イメージが更新されていないことが障壁となっています。


❸ 給与・休日・働き方への不満

  • 他産業と比べて週休2日制が進みにくい

  • 賃金の安定性・評価制度の不透明さ

  • 「下請け構造の中で自分の将来が見えない」という声も多い

📌 「やりがい」だけでは人は定着しない時代です。


なぜ人が育たないのか? 育成における課題


❌ OJT任せの教育に頼りすぎている

  • 「見て覚えろ」「背中を見て学べ」スタイルが根強い

  • 忙しい現場で教育が後回しになる

  • マニュアルや育成プログラムが整っていない

👉 結果:新人が何を学んでいるのかすら把握できていない


❌ 育成担当者に“教える力”が求められていない

  • 技術力の高いベテラン=教育が得意、とは限らない

  • 言語化や段階的指導、モチベーション管理などのスキルが不足

👷‍♂️ 教えられる職人がいなければ、育つ職人も育たないのです。


❌ 成長の“見える化”がない

  • 何を習得したら一人前なのかが不明確

  • 昇給・昇格・資格取得と連動していない

  • 若手が「このまま働いてどうなるのか?」と将来像を描けない

📉 こうして3年以内の離職率が高くなる構造ができてしまっています。


人材を“育て、守り、伸ばす”ための5つの施策


✅ ① スキルマップによる段階的教育

レベル できること 支援内容
Lv.1 現場の基本動作 安全教育・工具名称
Lv.2 土工補助作業 道具の使い方実践
Lv.3 軽作業の段取り 図面理解の基礎
Lv.4 施工班リーダー補佐 現場管理補助
Lv.5 職長・工程管理 資格取得・人材育成

📈 成長が「見える」ことで、やりがいと定着率が向上します。


✅ ② 若手向け動画・図解・マニュアルの整備

  • 掘削、型枠、コンクリート打設などの工程を動画で解説

  • イラスト付きの現場ルールブック

  • スマホで見られる「新人用現場ハンドブック」

📱 若手世代には“視覚重視型”の教育が特に効果的です。


✅ ③ 教育できる人材を評価・育成する

  • 教育担当に手当や評価ポイントを付ける

  • 指導スキルを伸ばす社内研修の実施

  • 教育=未来への投資と位置づける企業文化の醸成

👨‍🏫 「教える職人」が現場のキーマンです。


✅ ④ 働き方改革:週休2日、給与の安定化、福利厚生の充実

  • 重機作業やICT土工の導入による省力化と工期短縮

  • 施工管理と職人の業務分担・効率化

  • 社会保険完備、資格支援、退職金制度の整備

💡「ここなら一生働ける」と思える職場が、最大の育成環境になります。


✅ ⑤ 女性・外国人・未経験者の活用と育成

  • 女性職人向けの作業環境改善(更衣室・軽量道具など)

  • 外国人技能実習生・特定技能者への教育支援(多言語対応)

  • 中高年の未経験者を受け入れる「リスキリング研修」

🌏 多様性を受け入れる企業が、人材に選ばれる企業になっていきます。


「人を育てる会社」が“強い現場”をつくる


土木工事の魅力は、目に見える成果を社会に残せること。
道路、橋、公園、河川、防災設備そのすべてが未来に残る資産です。

でも、それをつくるのは「人」。
そしてその人を育てるのも、また人。

  • 教育に時間を割けない

  • 人材が辞めていく

  • 若手が来ない

そんな課題に直面した今こそ、
「育てる文化」を社内に根づかせることが、未来への最大の投資なのです。


人材不足の時代にこそ、育成力が企業価値になる


🔹 若手が来ない → 受け入れ体制ができていない
🔹 教えられない → 教える人を育てていない
🔹 辞めてしまう → 将来が描ける環境がない

これらすべてに共通するのは、“人への向き合い方”。

✅ 計画的な教育体制
✅ 成長が見える評価制度
✅ 多様な人材が活躍できる仕組み

これらを整えた会社こそが、
これからの土木業界で生き残り、地域を支えるリーダー企業となっていく。

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第9回土木工事雑学講座

皆さんこんにちは!
USUI総業株式会社、更新担当の中西です

 

さて今回は

~設計~

ということで、今回は、土木造成工事における設計について、基礎から実務、最新動向までを深く解説します♪

山林や田畑、傾斜地、空き地などを、宅地や建設用地へと整備する造成工事。
その土台をつくるのが、「造成設計」という重要な業務です。

造成設計は、ただ土地を平らにするのではなく、

  • 地盤の安全性を確保し、

  • 建物が建てやすい地形にし、

  • 排水・道路・法面などを計画し、

  • 各種法律に適合させる

という多面的な思考と高度な専門知識が求められる業務です。


造成設計とは?──土地を「使える形」に変える技術


造成設計とは、自然のままの地形や未整備の土地を、安全かつ機能的な開発用地に整備するための設計業務です。

主な内容には以下のような要素が含まれます

  • 土の切盛計画(切土・盛土・転圧)

  • 擁壁・法面・排水施設の設計

  • 道路や歩道、インフラ(上下水道・電気・ガス)の敷設計画

  • 土地の区画割り、造成後の宅地利用に応じた整地計画

  • 都市計画法、建築基準法、宅地造成等規制法などへの法的適合

📌 「土地の骨格をつくる設計」=造成設計
その設計次第で、土地の価値と将来の安全が決まります。


造成設計の流れと各ステップの目的


✅ ① 現地調査・測量・地盤調査

  • 地形図作成(1/500~1/1000)・標高・傾斜の確認

  • 地盤ボーリング・表層地盤調査による支持力・地質・地下水位の把握

  • 既存道路・水路・インフラとの接続条件の確認

📍 正確な「現況把握」がなければ、設計のすべてが崩れます。


✅ ② 切土・盛土の土量計算と計画

  • 土地全体の高低差を調整し、搬出入土量の最小化(バランス設計)

  • 転圧方法・層厚・施工機械選定の検討

  • 傾斜地では法面角度(一般に1:1.5~1:2)と安定計算を実施

🛠️ 無駄な掘削・埋め立てを減らすことで、コスト削減と環境配慮が両立します。


✅ ③ 擁壁・法面・構造物の設計

  • 高低差がある場所にはL型擁壁・逆T型擁壁・重力式擁壁などを計画

  • 土圧・水圧・地震力を考慮した構造計算と断面設計

  • 法面には植生マットやコンクリート吹付け、のり枠工などの表面処理を計画

📐 擁壁の高さが2mを超える場合、確認申請または建築確認対象となるため設計は厳密に。


✅ ④ 排水・雨水処理計画

  • 敷地内の集水計画(U字溝、側溝、集水桝)

  • 公共下水道や水路への放流計画

  • 豪雨時の浸水対策(調整池・雨水貯留施設など)

💧 雨水が流れず、水が溜まる土地=不良地
「水をどう逃がすか」が造成設計の成否を分けます。


✅ ⑤ 道路設計・区画計画

  • 建築基準法に基づく幅員4m以上の道路接道計画

  • 勾配・カーブ半径・縁石・歩道・交差点設計

  • 車の進入・転回スペース(特に袋地・行き止まり地)の確保

🚗 車社会において、道路の設計=生活のしやすさと資産価値を決定する要素です。


✅ ⑥ インフラ設備の引込・敷設計画

  • 上下水道・電気・ガス・通信の引込経路

  • 既存インフラとの接続の可否、敷地内ルートと埋設深さの確認

  • インフラ工事に必要な事前協議・行政との申請手続き

📎 インフラ設計は、住環境の“見えない快適さ”を設計する仕事です。


造成設計で注意すべきリスクと対策


⚠️ 違法造成や申請ミスによる工事中断

  • 宅地造成等規制区域内での無許可工事は違法

  • 都市計画法の開発許可(500㎡以上)申請漏れ

  • 環境影響評価や文化財調査の必要性確認忘れ

✅ 解決策:行政との事前協議・開発許可申請書のチェックリスト化


⚠️ 地盤沈下・崩壊の危険性

  • 盛土不良・排水不良・転圧不足による不同沈下

  • 豪雨や地震時の法面崩壊

✅ 解決策:施工段階での品質管理指示書と地盤安定計算の徹底


⚠️ 近隣クレーム(排水・騒音・振動・越境)

  • 雨水排水の逆流・浸水クレーム

  • 擁壁や境界杭の位置ズレ

✅ 解決策:隣地境界の測量精度向上・工事前の近隣説明会の開催


これからの造成設計に求められる視点


◆ 環境配慮・グリーンインフラの導入

  • 雨水を地中に浸透させる透水性舗装・浸透枡の採用

  • 造成地内に緑地帯やビオトープを計画

  • 土壌改良による植生回復とヒートアイランド対策

🌿 “環境にやさしい設計”が選ばれる時代になっています。


◆ BIM・CIMによる3D設計の導入

  • 設計と施工の情報を3Dモデルで一元管理

  • 干渉チェック・土量自動算出・ビジュアル共有によるミス削減

  • 発注者や住民への説明がしやすくなる

💡 造成設計にも「図面からデータへ」の時代が到来しています。


◆ AI・シミュレーションによる設計支援

  • 地盤条件や土地形状に応じた最適な造成パターンを自動提案

  • 大雨・地震時のシミュレーションで安全性を可視化

  • コスト・工期・環境影響をAIが分析

📊 将来的には、「最適な設計をAIと人が共同でつくる時代」も現実になるでしょう。


造成設計は「土地の未来を設計する」仕事

造成設計は、ただの土工計画ではありません。
それは「土地に命を与え、価値を生み、未来を支えるインフラを創る設計」なのです。

  • 地盤を読む力

  • 法律を理解する知識

  • 地域と暮らしを考える想像力

  • 施工との連携を前提とした設計力

この4つを兼ね備えた造成設計こそが、
安全・快適・持続可能なまちづくりの土台となるのです。

USUI総業株式会社では、一緒に働いてくださる仲間を募集中です!

私たちが採用において最も大切にしているのは、「人柄」です。

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